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 研修リポート 「沖縄は元気だった!」 〜沖縄を励ます静岡空港ミッションに参加して〜
沖縄を励ます静岡空港ミッション研修レポート
県議会議員(高P連会長) 西原しげき

曇っているせいか「那覇では23度あります!」の機内アナウンスで予想していたほど暑くはないが、それでも静岡の厚めの背広とその下に着ている長袖の下着では、少し歩いただけでじっと汗ばんでくる。
蘭の花がきれいに並べられた空港のロビーでは、沖縄観光コンベンションビューローの饒波(のは)理事長はじめきれいな沖縄の娘さんが迎えてくれる。先日会議をしたばかりの沖縄県高等学校PTA連合会の仲田会長も迎えに出てくれる。
静岡空港のPRと昨年の同時多発テロ以来、観光客が遠のき経済危機に陥っている沖縄県を励まそうと「沖縄を励ます静岡空港ミッション」が計画された。
「こんな時期に、静岡だって苦しい。」「旅費だって、もっと安いツアーがいっぱいある」といった批判を受けながらも募集をすると、県内各団体から瞬く間に200人が集まってしまった。

確かに、税金で公務として来ている県の職員もいるが、それよりも一般のさまざまな団体が主旨に賛同してくれて「沖縄を応援しよう。」と立ち上がってくれたことがうれしい。
私が前回沖縄に来たのは、平成7年の戦後50年の記念式典のときであった。沖縄は、私達本土に住んでいる日本人が常に心におかなければいけないところである。唯一の戦場となった地であり、日本が平和の下で経済に突き進んでいるときに、アメリカの占領下で朝鮮戦争やベトナム戦争への基地として犠牲を強いられてきた地である。昭和47年の返還以降も、アメリカ軍の基地は相変らず以前のまま存在し、役割も変わらないでいる。
ターミナルビルの研修会は、空港ビルディング会社の石川社長・井上常務から説明がある。
以前の二つあった国内線を一つに統合して、面積も2.7倍になった。
特色は、@ターミナル機能が最優先されるので、どこでも同じつくりになってしまう。お客様が来て玄関が印象に残るのであるが、少しでも沖縄らしくしようということで、蘭の花を5000弱配置した。又植物もたくさん植え込んだ。
A施設面では、2階から5階まで吹き抜けの広場を設けて、ウエルカムができるようにした。1500uある。5階にあがると、遠くケラマ諸島や青い沖縄の海が見通せる。もちろんその間に離発着する飛行機も一望できる。
ダブルデッキ方式といって、1階は到着ロビー、3階は出発ロビーという具合にタクシーなどの発着が分かれている。国内の空港では2例しかないと言う。
平成17年の予想旅客数を1300万人、一日の発着便を196便と想定しているから我が静岡空港とは比較にならない。面積は、77,713uある。建設費用は、約300億円。毎年売上が70億円あるというのだから、十分採算は取れているだろう。
モノレールを建設している途中で、来年の12月には市内と結ばれる。1000億円近くかかる建設費のうち空港会社で300億円ほど負担しているというが、こちらの採算はなんともいえない。毎日の乗降客が3万人を想定。
あとで街中のタクシーの運転手に聞くと「あれは大失敗ですね。不便で乗れませんよ」と言われた。確かにタクシーにとっては、天敵となる。

懐かしいホテルに向かう。
平成7年の時に泊まったハーバービューホテルが今回も宿泊先。
部屋に荷物を置いて、沖縄県との交流会場である「かりゆしアーバンリゾート那覇」に向かう。車窓から国際通りを望むが、日曜日のせいか人通りが少ない。

会場のホテルは離島に向かうフェリーの発着港の横で、海の匂いがする。
少し早めに着いて会場で、よく冷えた泡盛の水割りを口に含みながら饒波コンベンションビューロー理事長から沖縄の観光の話を伺う。
隣の菊地観光協会専務理事から、観光予算はいくらかとの質問に
「約20億円です。でも4200億円の観光収入があるんですから少ないくらいです」
菊地さんから静岡県の観光予算が2億円しかない現状を聞くがあまりにも少なすぎることに再度伺うと
「実は昨年できたサミット会場の管理費が7億円などといった施設管理も入っています」に少し安心をしたが、一人当たり2.7泊で、9万1000円を沖縄に落としていくと聞いて観光産業の偉大さがうなずける。ちなみに、沖縄県への観光入込み客が、年間約400万人で旅客人数の92パーセントは観光客という計算だそうだ。逆にいうと県民の利用は全体の飛行場利用者の8パーセントとことになる。
「昨年の暮れに大きく落ち込んだ客もようやく戻ってきました。実を言うと最近はホテルなどは満室状態です」と饒波さんの顔にはほころびが見える。私たちの「沖縄を励ます!」は遅かったかもしれない。景気のよさに、思わず「この会を静岡空港を励ます会にしてくれませんか!」とお願いしてしまう。
修学旅行は年間30万人ほどだそうだが、既に今年は28万にまで予約が戻ってきた。
これからの沖縄観光の課題について質問すると
「やはり沖縄の魅力は海です。JTBがアンケートをしたら、ショッピングや滞在の魅力では1位がハワイ次が沖縄で3番がグァムだったそうですが、自然や歴史、エコやウェルネスでは沖縄が一番だそうです。なんといっても沖縄は健康社会で、10万人あたりの長寿は日本一ですから」静岡も温暖で健康県ですよねと付け足したが、これはかないそうもない。「東北の県の老人に宮古島に来ていただいていろいろ調べたら、瞬く間に健康になっていったそうです」と念押しが続く。
そうこうしている間に、石川知事や沖縄県の稲嶺知事が会場に到着する。稲嶺知事はテレビで見慣れている。
最初に石川知事が挨拶。
知事は、今回の沖縄ミッションが予想外に集まったことに感謝すると同時に、沖縄県と静岡県の関係について、東海道4百年祭や琉球王朝の故事を持ち出して説明をする。清見寺に琉球王朝の関係者のお墓があることは初めて知ったし、羽衣伝説で共通していることも初めて知った。
「年間6万人の人が現在でも交流している。4年後に静岡空港ができることを期待している。是非静岡県に来てください」と結んだが、「期待している」のは沖縄からのお客さんで、空港のほうは「期待」ではなくて「決意」にしてほしいところだ。
続いて稲嶺知事も、戦時中疎開していて関係の深い福島県や各県の応援来訪があることを披露して、あらためて「辛いときに助けてもらったことは忘れない」と感謝をして、石川知事同様静岡と沖縄の関係について説明する。静岡大学の北大路先生や静岡県職員が行政改革で指導していることなど初めて聞いた。
「静岡空港ができたら、私が知事でいられるかは別だが、先頭になって静岡を訪問する」と力強い挨拶があった。プロ野球の球団キャンプで賑わいを取り戻しているとはいえ、挨拶の中で、「亡なくなった人へのフォロー」という言葉で、戦争への思いをさりげなく思い起させるとともに、「安全保障に理解と協力を!」と沖縄が置かれた苦しい立場をきちんと訴える稲嶺知事に盛んな拍手が送られた。
沖縄はいま、中国と日本の間にあって、最も発展の可能性が強い日本の県という位置付けができつつある。
「実は静岡県の自動車関連の部品メーカーが、沖縄に進出しています。アジアと日本の間にあって、メイドインジャパンを言えてコストの一番かからないのがここ沖縄になるんです」知事が続ける「沖縄振興法と若年労働者の採用に対する補助制度を利用すると、結果的に人件費がゼロになるんです」頭の悪い私には少しわかりづらいが、知事は「土地もある」と自信を強める。しかしネックは港だろう。マイナス12メートルもないという。
「これも課題ですが早期に整備します」と力強い。
エスピーがきちっと護衛している態勢は、沖縄の知事の緊張感が伝わってくる。
頑張ってほしい。
会場の舞台では沖縄の伝統芸能のエイサーが披露される。
それに併せて、沖縄県議会議長の伊良皆さんが踊りだす。私の後に続けとばかり促すと知事初めたくさんの人が輪になって踊る。会場はとてもいい交流ムードが続いた。
明日はそれぞれが実務的な交流の輪を広げることであろう。

ゆうべの泡盛は私の体と心を沖縄にしてくれる。
ゆっくりめの出発で昨夜の無理も少し軽減される。
最初に訪問したのは、沖縄産業振興センター。「大丈夫さ〜沖縄」の誘客緊急対策本部の物々しい看板が下がった事務所の前を通る。選挙事務所のような雰囲気で事務所の中が活気があるような気がする。
NHKテレビの連続ドラマで有名になったおばあが沖縄の宣伝でコバルトブルーのビーチパラソルを差して微笑んでいる。ポスターを貼っているスタッフに「君のほうがいいね!」と言ったら窓越しにポーズをとってくれた。
ここで班別の行動となって、私は県庁訪問の班と行動をともにする。
沖縄県観光リゾート局の糸数局長、観光振興局の中村課長、そして交通政策課の呉屋課長から説明を受ける。
「テロ以来キャンセルが出ていたが、年末年始から回復の兆しが出ている。皆さんのご支援に感謝する」と丁重なお礼があり、さらに「静岡空港ができたら交流を是非したい」と糸数局長から挨拶がある。
そのあと呉屋課長から空港の現状について説明がある。
「名古屋が71万人、広島が16万人、鹿児島が21万人、仙台が13万人ですから静岡の15万人は妥当ですね。幹線を除いて20万を超すのは大変ですが、静岡は期待しています」東京の378万人、名古屋の71万人には特及ばないが静岡には大いに期待している様子がうかがえる。
第二種空港である那覇空港と違って静岡空港は第三種空港である。その辺のヒントを語ってくれる。
「那覇空港は第二種ですので国ですが、特別措置法の関係で税が軽減されています。沖縄県が管理する離島などの第三種空港もたくさんありますが、平成9年から着陸料など80%の減免措置をとっています。12億円のうち9億円は離島還元ということで一般財源をつぎ込んでいます。」
国の措置で、着陸料は1/6、航空燃料税は2/3から1/6となる。離島の人は30%の着陸料で利用できる。
至れり尽せりで空港需要はうなぎ上りだ。
「沖合いへの滑走路拡張も国にお願いしています。」と元気はいい。平成17年には限界である年間13万回発着に近づくという。22年には増便が困難になる。貨物もやれるようにすると、24時間運行になるので拡張は是非進めたいという。
観光については、中村課長から説明がある。
机の上に並べられた各種資料を分析してみる。そうすると「おやっ!」と思うことがある。
沖縄の観光客は毎年増加している。平成10年が412万人、平成11年が455万人、平成12年が452万人。そして今年平成13年の予測が443万人とある。テロで壊滅的な打撃を受けているはずの沖縄の観光客の入込みが、平成11年には及ばないものの平成10年の数字よりはるかに多いのである。
確かに高等学校の修学旅行は、9月から12月と激減しているが、20万人の減少である。この減少があるにもかかわらず、昨年の数字に対して約9万人の減少にとどまっているのである。しかしレポートはうまい。平成13年の当初目標値を466万人と想定し、それに対しては23万人の減少と大きくPRしているのである。そしてその数字は、いかに沖縄経済に影響を与えているかを示している。
「沖縄の収入のうち国庫などから55%で、次に多いのが観光で18%です。」
いかに観光に力を入れているか説明が続く。確かに一人当たり9万1千円も落としてくれるとなると振興策も充実だ。シーズンごとに開催されるイベントや、各種政策経費として平成13年には28億円が使われた。平成14年度は30億円を超すという。
観光振興は、国の法律でも支援されている。
「沖縄の修学旅行ではキャンセルしてしまってすみません。でも今年は、15校が実施します。昨年の22校の内4校は変更して3校が未定です。沖縄に来れるようお願いしてみます」と教育委員会の橋本次長から説明がある。私立も併せて27校も静岡県から修学旅行に来ていることは見逃せない。
「実は沖縄はリピーターが増えています。450万人のうち60%はリピーターです。」
ということは高校生の修学旅行は将来のリピーター予備軍となる。最初は団体で来るが次からは個人や小グループとなる。レンタカーの普及がタクシーの台数と並んできたことがそれを証明している。
短い時間だったが、沖縄に確実にお客が戻ってきていること、今回のテロを誘客の宣伝に最大限に使っている沖縄のしたたかさを見ることができた。一方、日本の海外支援のように、おっとり刀で駆けつけるタイミングの悪さみたいな「沖縄を励ますミッション」を、自らの事として少々反省した。
教育委員会では、津嘉山教育長、松田生涯学習振興課長、輿埼県立学校教育課長補佐が同席する。
「静岡県とは関係が深いんですね。実は、3月20日に引渡しを受ける海邦丸という実習船は清水のカナサシ造船で作っています。お茶やみかんも入ってきますし、これからは高校生の交流も是非やっていきたいですね」
とても積極的な教育長だ。
橋本次長から今年の高校生の修学旅行の状況について説明がある。できれば一方的に静岡から沖縄ではなくて沖縄の子どもたちが静岡に来るようになればいい。
しかしそのためには一刻も早く空港が完成することが必要だ。
時間が制約されていたために十分な意見交換ができなかったが、今後の両県の交流を念じて県庁を後にした。
午後は、中城地区の工業地域を視察した。
埋立地の一角にりっぱな立て物が見えてくる。これはどう見ても公共の建物だな、と予想すると、まさにそれが訪問先の沖縄県工業技術センター。
説明は県の商工労働部企業立地推進課長の高良課長が行なう。 その後、港湾埋立地に進出している2社のベンチャー企業を視察して帰路についた。

この項については詳細な説明を省く。ただ静岡県としては参考にならなかったが、沖縄という特殊な地域の今後の戦略が垣間見れる視察であった。
翌日午前中は、首里城など少しの観光をして14時の便で羽田/東京国際空港に向かった。
眼下に見える駿河湾に、皆で「早く静岡空港を作ろう」と誓い合ったのは言うまでもない。
雪をいただいた富士山の雄姿を横に見ながら静岡空港へ降り立つことを想像した。
沖縄から約2時間半で羽田に着いたが、静岡でバスを降りて自宅に着いたのは9時を回っていた。一刻も早い空港の完成が望まれる。

今回の視察は、本来、国内の九州地区を空港の利活用やエアポートセールを目的に小規模で行われる計画だったが、知事の「沖縄を助けよう」の号令の元、急ごしらえで編成計画された。したがって、役所の仕事として担当者は大変な努力をしたと思うが、結果として大勢の参加があり意義があったと考える。しかし、レポートの中でも触れたように、いくつかの問題点や課題もあった。
この点をも踏まえながら、更に空港のPRや利用促進に向かって県民関係者一丸となって取組んでいくことが望まれる。